超絶技巧 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　亀甲　陽子 　「ハーモニカのコンサートなんだけど、一緒に行かない？」と、今まで多くの知人に 声をかけてきましたが、いつも反応はいま一つでした。 ハーモニカの音楽は、実はBGMなどでよく耳にしている筈なのですが、 そうと気づかずに聴いていることも多く、地味なイメージを持つ人が多いようです。 　今回も多くの方が「初めて」に手を挙げておられましたが、いきなり“世界一”の 演奏でハーモニカの印象を塗り替えてしまったら、これから他の演奏ではもの足りない 思いをすることになるかもしれません。 　和谷さんの演奏は、まず「超絶技巧」と評されるテクニックに驚かされます。 しかし、それ以上に「さすがプロ！」なのは、磨き上げられたその音色です。 ハーモニカは誰にでもとっつき易い楽器である割に、美しい音色を出すのは案外 難しいものなのです。 （そんなことを全く感じさせない演奏なので、わざわざ言うまでもないのですが・・・。） 　今回の草志舎でのコンサートは、“和谷さんファン“の私にも嬉しいものでした。 大きなホールで聴く演奏も良いですが、草志舎のような心地よい空間で、 和谷さんの人柄が直接伝わってくる演奏を聴くことができたのは、草志舎の 企画ならではでした。 多彩な音色でいろいろなジャンルの音楽を楽しむことができた上、初めて ”雅楽バージョン“まで聴かせていただけて、1回で何度もおいしいコンサートでした。

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