英国ナショナル・トラストの旅 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　越智　清純 　今迄数回西欧地方を訪れた経験がありましたが、殆どが建築に関連した勉強が 殆どであったように思う。 今回の英国の湖水地方は日本で云うと北海道地方のように起伏の少ない丘を 滑るようにバスが移動していくのです。 今回団長を務められた中島氏は高校大学とテニス部で熱心にやっておられたことを 聞き、同室という好みを生かして、旅の運動不足を解消するためにラリーが出来ると 確信していましたが、残念ながら一度も実現出来なかった。 イギリスはテニスの発祥地でもあり、コートが到る所にあると思っていたが、少なく、 あっても日本のように簡単に使用させてもらえなかった。 今回の旅で印象に残っていることは、レイクサイドホテルに宿泊したとき、 各自自由な夕食になり、私は食欲がなかったので、皆さんとはづれて、湖水の水際で 椅子に腰を掛け、ビールを飲みながらボーと遠くの景色を見ていた。 会社の応接室にあるブーリュエの湖畔の絵を思い出していた。 ・・・・・・一時半ほどの時の流れを感じながら夕暮の景色を眺めていた。 　湖に映る遠くの森とバックの山々、雲の流れ、ヨットの動き、野鳥が空を 飛んでいる様子、湖水の水の色の変化、又自然の音、風、野鳥・・・。 なんとも云えない空気の香り・・・。こんなにすばらしい大自然の偉大さ、尊厳さを 感じたのは今迄あっただろうか？ 有名な詩人、音楽家、画家のすばらしい作品が次々と生まれたことを初めて理解出来た。 今現在自分がそこに生かされていることへの感謝が涙となって湧いてくるのでした。 また、今回出席された人達が良かったので、楽しい旅が出来、皆様への感謝を させて頂きます。 本当にありがとうございました。 　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　レイクサイド・ホテルの庭から湖を見る 女王みたさにロンドンへ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　貴島　照代 　「ねこ　ねこ　こねこ　どこにいた？ 　　じょうおうみたさに　ロンドンへ 　　ねこ　ねこ　こねこ　なにをした？ 　　ぎょくざのしたの　こねずみを 　　びっくりぎょうてん　させてきた」 　　　『マザー・グースのうた』谷川　俊太郎　訳より 　全部で何ヶ所のナショナル・トラスト・プロパティーへ連れて行って いただいたのでしょうか。 アメニティ2000協会の旅行は、おそらく旅行社企画のツアーでは行くことのない所を ていねいに巡って、“これぞイギリス”を心ゆくまで堪能させていただきました。 景色、歴史的建造物、参加者、ガイドさん、お天気と何もかもが申し分なく幸せな 日々だったと感謝しております。 　カントリーサイドの旅を終えてからの私のロンドン行の一端をご報告しましょう。 　6月11日、マンチェスターから帰国なさった方々をお見送りした居残り8人を 駅で待っていたのは、ヴァージン特急のファーストクラスのボックスシートでした。 思わず歓声をあげ、新聞、おしぼり、軽食、お飲み物付きの待遇にくつろぎました。 前日まで夜も目一杯動き回っていましたから、ロンドンまでの3時間は貴重な休憩と なりました。 　そして、宿泊する“ジョリーホテルセントアーミンズ”はSt.ジェイムズ公園の すぐ近く、ロンドン警視庁スコットランドヤードの真ん前です。 　バッキンガム宮殿周辺はポールにユニオンジャックの旗を掲げ、交通規制の ガードレールなどを置いてお祭りの準備をしています。 　そう、6月第2土曜は女王様の公式お誕生日の式典トゥルーピング・ザ・カラーの 日だったのです。 　翌朝、ホテル周辺にはずらっとパトカーが路駐しています。 式典の交通整理のお巡りさんたちが集合しているのでしょう。 　これ以上ないような青空。宮殿まで歩いてみました。 車がストップされているので赤や黄色の花壇と芝生の緑が引き立ちます。 宮殿屋上の女王旗は女王様ご滞在の合図です。あの皇太子とダイアナ妃が結婚式の あとキスをなさったバルコニーには臙脂の垂れ幕が飾られています。 　お誕生日の行事が終わると王室のみなさまがおでましになり、お手ふりを なさる場面を写真でみたことはあります。 ここでなさるのだと確認してその場を離れました。 大勢の人が待ち構えていましたが、1日半の滞在で行きたいところはいくつもあるので、 長い時間留まってはいられません。 　丁度ヴィクトリア＆アルバート美術館の外へ出たときに、轟音がつんざいて ジェット機のアクロバット飛行が低空を通過しました。 これも祝賀行事の一部と合点して、この日この時ロンドンにいることをとても嬉しく 思ったのです。

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