表紙 ＞ ヴォーリズ六甲山荘について ＞
2007年04月30日の記事から
一般公開されたヴォーリズ設計の六甲山荘
＝神戸市灘区の六甲山で＝
米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計で1934年に六甲山頂に建てられた「六甲山荘」が29日、一般公開された。阪神間の古い建築物の保存に取り組むNPO法人「アメニティ2000協会」（西宮市）が、一般からの募金で同山荘を買い取り、保存・活用する計画を進めており、大型連休中の30日、5月4、5日にも内覧会を開く。
同山荘は、個人の別荘として建てられ、敷地は約6千平方メートル、建物は約264平方メートル。木造平屋建てで、暖炉のある居間、食堂、四つの寝室、お手伝いさん用の和室などがある。山頂の厳しい環境に70年以上さらされてきたにもかかわらず、傷みは少なく、家具なども含めて、建築当時の姿がほとんど残っている。
７０年代からは甲南女子大の学習施設として使用されていたが、5年前に閉鎖された。同協会は大学側と交渉し、08年春に2500万円で買い取ることで合意した。
同協会は、阪神間の独特な景観を形成している戦前のモダン建築などを調査。市民から広く寄付を募る「ナショナルトラスト」という方法で、存続が危ぶまれる建造物を保存しようとしている。六甲山荘はその第１号で、2千万円を目標に寄付を募っている。
ヴォーリズは1905年に来日し、滋賀県の近江八幡を拠点に関西学院大西宮上ケ原キャンパス（西宮市）など全国に多くの名建築を残した。国登録有形文化財だった旧室谷家住宅（神戸市須磨区）は1月、惜しまれながら解体された。
同協会の清水彬久理事長は、同山荘について「ヴォーリズの山荘の代表的なもので、建物と庭が一体になった空間を憩いの場にしたい」と話す。取得後は一般に公開するほか、同協会の活動の拠点にも利用したいと考えている。
同山荘は神戸市灘区六甲山町北六甲。内覧会は協賛金300円（資料、絵はがき、飲み物代）。当日は阪急バスの「記念碑台」停留所から案内札が出る。問い合わせは同協会（0798-65-4303）。
古い家具が残っている居間
＝神戸市灘区の六甲山で＝