播半保存運動について 　 　 　　 　 　 　 　 　 　 　　 　 　 　 　　 　 　　 　 　 　 　2005年5月撮影 　播半とは兵庫県西宮市甲陽園にある料理旅館です。 甲陽園は大正年間から保養地として人気を集め、多くの人々が訪れました。 播半はこの地に高級料亭として大正末に建てられた数寄をこらした日本建築です。 自然の地形を生かした敷地内には谷川が流れ、緑ゆたかな庭園となっています。 多くの名士、文人が通い、小説「細雪」にも登場し、昭和天皇も泊まられたことがある、 阪神間の文化史的にも忘れてはならない建物です。 阪神間の戦前の建物について調査してきたアメニティ2000協会の歴史的建築物研究会も、 播半は兵庫県に残る数少ない日本建築の名品と評価していました。 　この播半を東京の業者が購入し、敷地内の谷を埋めて更地にし、マンションを 建てるという計画が発表されました。 これに関して地元住民から相談を受けた当協会は、歴史的建築物研究会のメンバーが 中心となって、次のような活動を展開しました。 　・西宮市、兵庫県に対して要望書の提出（11月10日） 　 　本館等の建築と自然環境を保全する形の計画に変更すべきであるという内容です。 　・代替案の提出（11月21日） 　　 歴史的建築物研究会のメンバーが要望書に沿った代替案を模型で作成して 　　 　西宮市に提示しました。 　　　大正年間に建てられた本館などを残し、谷も埋めず自然の地形を利用した低層の 　　 　マンションという構想です。 　　 　西宮市からは検討に値する案であると評価を受けました。 　・地元住民への説明会（11月29日） 　　 　播半周辺の四つの自治会の代表者あわせて30名ほどが草志舎に集まり、 　　 　こちらの設計プランを説明しました。 　　 　参加者の皆さんは、この案に賛同するとの意見で一致しました。 　・業者への代替案の説明（12月1日） 　　 　西宮市の声かけで、業者に私たちの案を説明しました。 　　 　その席で西宮市からは、業者に対して原案の見直しを求めました。 業者の動向は未知数です。 ただ歴史ある建築物の保存と開発という現代の問題に対して、このように 提言が行政当局や住民から高い評価を受けたことは、アメニティ2000協会として 一定の役割を果たせたと実感しています。

播半跡地開発 11月29日　アメニティ2000協会が 対案を地元住民に説明 「播半」跡地マンション建設 11月21日　アメニティ2000協会 西宮市に対案 「播半の保存に関する要望書」 11月10日　西宮市長に提出 ”播半"の魅力